年金アドバイザー3級と年金検定2級両方受けましたので、試験問題も含めてその違いについて書いていこうと思います。
試験形式
年金アドバイザー3級 | 年金検定2級 |
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会場受験・CBT試験 | CBT試験 |
どちらも共通してCBT試験による受験が可能です。ただし、CBT試験の実施時期が微妙に異なるので注意が必要です。年金アドバイザーは例年6月1日から翌年3月31日まで、年金検定は例年7月1日から翌年3月31日となっています。
また、年金アドバイザーについては年2回(3月と10月)会場受験がありますが、年金検定は会場受験はありません。
受験料
年金アドバイザー3級 | 年金検定2級 |
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5500円 | 8800円 |
受験料については、年金アドバイザーが5500円、年金検定は8800円と結構開きがあります。ちなみに年金アドバイザーは会場受験、CBT試験ともに5500円です。
試験時間
年金アドバイザー3級 | 年金検定2級 |
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120分 | 120分 |
どちらも120分になります。僕が会場受験で年金アドバイザーを受けたときは150分だったのですが、2022年度から120分に変更されたようですね。
出題形式
年金アドバイザー3級 | 年金検定2級 |
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五肢択一式50問 | 四肢択一式50問 |
どちらも50問ずつですが、年金アドバイザーは五肢択一式なのに対して、年金検定は四肢択一式になっています。これだけをみると年金検定の方が楽そうですが、1つ1つの肢は年金検定の方が判断が難しい気がします。
また、残り20問は事例問題となっており、1つの事例問題に小問2つで構成されています(大問自体は10問)。これは年金アドバイザー、年金検定共通です。
出題範囲
年金アドバイザー3級 | 年金検定2級 |
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わが国の社会保険制度とその仕組み | 公的年金制度の仕組み |
年金制度とその仕組み | 老齢給付 |
年金給付の種類と支給要件 | 障害給付 |
企業年金・個人年金の仕組みの要点 | 遺族給付 |
年金請求手続と年金受給者の手続 | 公的年金制度に関するその他の論点 |
その他 | 私的年金、医療保険等 |
見出しだけを切り取るとこのような感じになっていますが、国民年金法、厚生年金保険法については全範囲が試験範囲だと思っていた方がいいでしょう。健康保険法も2~3問出題されます。他にも確定拠出年金や確定給付企業年金、年金に係る税金あたりも共通して出題されています。
違いがあるとしたら、年金アドバイザーのほうは平均寿命や出生率など白書からの出題が必ずあります。年金検定はそのような出題はなかったです(少なくとも僕が受けたときは)。
ただ、年金アドバイザーの白書問題は毎回同じような問題ばかりなので、過去問さえやっておけば問題なく、むしろ得点源にできるところです。
あと印象に残っているのは、年金検定は国民健康保険法や介護保険法が1つの問題として出てきます。年金アドバイザーはせいぜい1肢出てくるかどうかといったところです。
このように出題範囲については、多少傾向が違うところもありますが、概ね共通しているといって問題ないと思います。
合格基準
年金アドバイザー3級 | 年金検定2級 |
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60点以上(100点満点) | 60点以上(100点満点) |
どちらも60点以上となっていますが、年金アドバイザーは試験委員会によって最終決定がなされるので、場合によっては60点を切る場合もあります。ただし、年金アドバイザーのCBT試験のほうは例外なく60点以上、年金検定もCBT試験なので例外なく60点以上です。
問題内容
実際の試験問題の中身ですが、まず事例問題については、年金アドバイザー、年金検定ともに似たり寄ったりといったところです。計算問題は与えられた事例から被保険者期間を出して年金額を計算させるのがメインとなりますが、素早く被保険者期間を出す練習をしておかないと時間が足りないことになりかねないので注意が必要です。
また、どこまでを被保険者期間として含めるのかもしっかり意識しておかないとこの1ヵ月を含めるのかどうか悩んだりすることになります。特に事例問題に出てくる人の誕生日が1日生まれとか微妙な設定になっていることが多いので注意が必要でしょう。
あとは特別支給の老齢厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢なんかもしっかり記憶しておかないと支給繰上げの問題に対処できないでしょうし、老齢基礎年金の年金額計算の際の保険料免除期間の月数計算の仕方なんかも記憶しておかないといけないので、計算問題は正確な知識と素早い処理が必須となってきます。
とはいっても、事例問題すべてが計算問題というわけではないので、自信がないのであれば計算問題を飛ばすなり、捨てるなりして他の知識問題で点を稼げば合格点には十分届きます。
次に事例問題以外についてですが、これは年金アドバイザー、年金検定ともに30問ずつあります。年金アドバイザーは5肢択一式ですが、1つ1つの肢が短く、わりとサクサク解けるのでそこまで時間はかからないので、その分事例問題に時間をかけることができます。
一方、年金検定は4肢択一式ではありますが、1つの肢にプチ事例問題を混ぜてくる問題があったりするので、その分肢も長く、解くのに時間を費やします。このあたりは社労士試験の問題に似た傾向があります。
対策としては、年金アドバイザーについては過去問は必須でしょう。本屋やネットで容易に入手できるので、これを解いていくのが合格の一番の近道です。
年金検定については、新しい検定ということもあってか過去問の入手が困難です。唯一TAC社から出ているのが「年金検定2級基本学習セット」というものですが、テキストと問題集セットで5000円とちょっと高めで本屋などでは売っていません。問題集だけで売ってくれたら買ったのですが、テキストとセットということで見送ったので、中身についてはわかりませんが、年金検定の公式サイトでも紹介されているものなので、全く年金の勉強をしたことがないとかであれば購入するのもよいかと思います。
年金の勉強をしたことがあるのであれば、年金アドバイザーの過去問でも十分かと思います。特に事例問題はそれで十分対処できます。
社労士受験生であれば知識問題については自分の持っているテキストや問題集で十分ですが、事例問題はやはり年金アドバイザーなどの過去問をやっておいたほうがいいと思いますね。
以上、両方受けた者の感想としては、年金アドバイザーのほうが過去問もあって対処しやすいですが、年金検定のほうが過去問を解いてないということもあってか時間がかかって難しい印象でした。ただ、年金アドバイザーは会場受験、年金検定はCBT試験での受験でしたので、CBT試験の不慣れさもあって年金検定が時間がかかってしまったというのもあるかもしれません。
最後に参考までに僕の試験結果を載せておきます。
年金アドバイザー3級 | 年金検定2級 | |
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受けた時期 | 2021年10月 | 2023年1月 |
点数 | 84点 | 72点 |